2012年4月21日 MT化 その5(ゲトラグミッションOH:分解編)


【はじめに】

MT化のメイン、マニュアルミッションのオーバーホールに取り掛かる。最初からオーバーホール前提と言うことで譲り受けていた。

何故かと言うと、4速のときにミッションからガラガラと異音が発生していたそうだ。他のギアでは問題ないので直結になったときに出ているらしい。

シフト関係では特に異常は無いらしい。

そのため一応考えられるベアリングなどの部品を手配し入手してある。



【ミッションの分解】2011年12月から2012年1月に掛けて作業。

GETRAG 280/5 E34のM5で使用されているミッションである。ケースが3分割になるタイプだ。

  
左側面                                  右側面

 

  
フロント                                  リア

 


分解はインプットシャフト側から始める。


ハウジングカバー固定ネジを緩める。


ハウジングカバー(レリーズベアリングガイド)を外す。


サークリップを外す。


サポートディスクを外す。


ハウジングカバーのインプットシャフトシールを抜き取る。


レイシャフトのベアリングカバー固定ネジを緩める。


ベアリングカバーを外す。


これは再使用出来ないので穴を明けて取り外す。


カバーの中にスペーサーがある。


組立時の調整用のスペーサーだ。


レイシャフトの固定ネジを緩める。


シャフトが共回りするのでインパクトを使う。


シフトロッドロックピンを抜き取る。


ブラインドプラグを外すとスプリングとロックピンが入っている。


磁石を使って抜き取る。


まず、スプリング。


ロックピン。


ロックピンは挿入時に向きがあるので覚えておく。


先端のローラーを横向きに入れる。


バックアップライトスイッチを外す。


バックギヤに入れたときにバックライトを点けるためのスイッチ。


シフトロック機構用のシーリングカバーを外す。


3本のスプリングとボールが入っている。


1箇所だけスプリングの長さが違う。

上の画像の上側が短い分である。


ボールは奥にあるので磁石で引っ付けて抜き取る。


ケーシング合わせボルトを外す。


1本だけ長さが違う。


ここで、専用の冶具を使う。


ハウジングカバーの付いていた穴を利用する。


冶具を取り付けたら押しボルトをねじ込んでいく。


するとフロントケースが割れてくる。


フロントのベアリングが抜けるまで冶具で押す。


フロントケースが抜けた。


ギヤ周りが姿を現したが、まだ外れない。


リアケースを分解する。


アウトプットフランジ固定ネジを外す。

きつく締まっているのでインパクトで外す。


アウトプットフランジを抜き取る。


ここからリア側用の冶具を使う。


冶具をセットする。


ケースを割る前にシフト部を分解する。


ミッションの上から見てケースの中ほど。


ここにクリップで止まっているレバーがある。


リバース用のセレクターレバー。

テコの原理でシフトと逆方向にフォークを移動させている。


クリップを抜いて、レバーを抜き取る。


これで、右端のロッドが抜ける。


リバースシフトロッド。


シフトフォーク類のロックピンをピンポンチで抜き取る。


セレクターアーム。


3速・4速シフトフォーク。


1速・2速ドライブドッグ。


1速・2速シフトフォーク。


1速・2速のシフトロッドを抜き取る。


シフトフォークを外してロッドに仮組みしておく。


3速・4速のシフトロッドを抜き取る。

シフトフォークを外してロッドに仮組みしておく。


3速・4速のシフトロッドにはロックピンが入っているので注意する。


ロッドが抜けたら間に入っているボールを取っておく。


セレクターシャフトを押し込むと、ロッドシールと一緒に抜けてくる。


セレクターシャフトに付いているローラー4つを外しておく。


これで、リアケースが抜ける状態になった。


おっと、リバースギヤのボルトを忘れていた。(笑)


冶具に押しボルトを付けて、押し込んでいくとリアケースが割れていく。


冶具を外してセレクターシャフトを抜き取る。


リアケースが外れた。


5速・Rシフトフォークのロックピンを抜き取る。


5速・Rのシフトロッドを抜き取る。

シフトフォークを外してロッドに仮組みしておく。

【各ギヤの分解】


各ギヤの分解に取り掛かる。


バイスに挟んで作業がしやすいようにする。


レイシャフトのフロント側ベアリングのインナーレースを抜き取る。


このままだと抜けないようになっている。


順番にばらしていく。


インプットシャフト側からばらす。


注:4速カウンターギヤを外さない場合はリア側から分解する。

今回は、4速カウンターギヤを外す形で説明していく。


レイシャフトの4速カウンターギヤを抜き取る。


かなり固く入っているのでバーナーで温めながら抜いた。


最後まで固かった。


裏側には薄いギヤがあるので、プーラーを直接掛けないようにする。


何とか抜き取り出来た。


このギヤにはバックラッシュ吸収用スプリングが入っているので注意する。


これでインプットシャフト(4速ギヤホイール)は外れる。


4速ギヤホイール内部にベアリングが入っている。


メインシャフトの分解。


サークリップを外す。


サポートディスクを抜き取る。


3速・4速のシンクロセットを外す。


シンクロガイドスリーブにはスプリングとボールとプレートが付いている。


バラバラにならないように一緒に外す。


3速ギヤホイールを外す。


ニードルベアリングを外す。


ベアリングのスリーブがあってこれ以上ばらせない。


しかも、3速カウンターギヤの方が大きいので外れない。




フロント側はここまで。


リア側に移る。


リア側の外せる部品を確認する。


この部品は、ケースを外すときに落ちるので無くさないように元に戻しておく。


ワッシャー。


従来ならここに回り止めのボールが入っている。

しかし、今はベアリング形状の変更により不要となっている。



ボールが無かったので探し回ったのは内緒だ。(笑)


ちなみに以前のベアリングは、インナースリーブが分割式だった。


そのスリーブにボール用の凹みがあって、ボールで周り止めをしていた。



ボールを入れるとベアリングが奥まで入らなくなる。


レイシャフトの5速カウンターギヤを抜き取る。


こちらは温めなくても抜けた。


固い場合は、無理をせず温めながら抜く。


このギヤはスリーブと一体になっている。


5速ギヤホイールを外す。


ニードルベアリングを外す。


サークリップを外す。


5速・Rのシンクロを外す。


固い場合は冶具を使用する。


リバース大ギヤホイールを外す。


ニードルベアリングを外す。


リバース小ギヤホイールを外す。


5速カウンターギヤを外すと、大小どちら側からでも外せる。


サークリップを外す。


リバース小ギヤ用ニードルを抜き取る。


これから先は冶具が無いとばらせないので急遽製作した。


2分割の冶具で挟み込んで抜き取る。


フロントケースで使った冶具と合わせて使用する。


メインシャフトリア側。


ニードルベアリングのスリーブとワッシャーが残っている。


ここでは、このセットを使用する。


ワッシャーの奥の隙間に冶具を差し込んでセットする。


冶具の押しボルトを押し込むと抜けていく。


冶具を外して再現。


ニードルベアリングスリーブ。


ワッシャー。


回り止めボール。


これでシャフト全体が抜けるようになった。


メイン、レイ両方のシャフトを同時に抜き取る。


メインシャフトは、残り1速と2速ギヤホイールとシンクロ。


レイシャフトはこれで終わり。

ちなみに3速カウンターギヤも交換出来るようになっている。

ただし、単品での部品供給はない。


メインシャフトをバイスにセットして分解する。


ここでは、このセットを使用する。


2速ギヤホイールを包み込むように取り付ける。


冶具の押しボルトをねじ込む。


スリーブ、ワッシャー、ギヤが一緒に抜けてくる。


冶具を外して再現。


ニードルベアリングスリーブ。


ワッシャー。


回り止めボール。


2速ギヤホイール。


ニードルベアリング。


サークリップを外す。


手では少し固いので、プーラーを使った。


1速・2速のシンクロを外す。


1速ギヤホイール。


ニードルベアリング。


これで、全てのギヤがバラバラになった。



ちなみに2速メインギヤと5速メインギヤの位置を間違っている。(笑)

【ケースの分解】


フロントケースの分解をする。


とは言っても、付属部品を外すだけだ。


ドレンプラグ。


磁石が付いていて、鉄粉が沢山付いている。


ピボットを外す。


クラッチホークの固定側のピンである。


先端がかなり磨り減っている。


裏側から押し出すと簡単に外れる。


オイルフィラーキャップを外す。


オイルフィラースリーブを抜き取る。


後期の延長タイプに交換予定のため。


ノックピンを抜き取る。


錆びて傷んでいるので交換する。


ベアリングを抜き取る。


シフトロッドのボールベアリングリテーナーを抜き取る。


パイロットベアリングプーラーを使って抜いた。


リアケースの分解。


シフトロック部のキャップを抜き取る。


内側から棒状のもので叩けば簡単に抜ける。


組立時にここからボールをセットすることになる。


アウトプットフランジのシールを外す。


シフトのニュートラル機構部を分解する。


シフトを常にニュートラル位置に戻す為のパーツ。


5速側戻り用。


プラグとスプリング。


リバース側戻り用。


ロックリングを外す。


シールカバーを取る。


再使用出来ないので壊して外した。


ロックシャフトとスプリングが入っている。


ベアリングサポートを外す。


1速・2速側戻り用スプリングか間に入っている。


セレクターアームとセット部品。


ベアリングを外す為、バックアップリングを外す。


このセットのままで、後はばらす必要はない。


ホルダーリングを外す。


ネジが固い場合、無理に外す必要はない。


バックアップリングとホルダーリング。


ベアリングを抜き取る。


ベアリングの間に調整用スペーサーが入っている。


レイシャフトリア側ベアリングアウターレースを抜き取る。


特殊な形なので専用冶具を使う。


パイロットベアリングプーラーを利用する。


特に問題なく抜けた。


裏側で引っ掛けるようにして抜く。


インターミディエイト ケースを分解する。


ベアリングとリバース小ギヤシャフトを抜き取る。


ケース側ベアリングの分解終了。


これで、全てがバラバラになった。

後は、各パーツの点検整備作業になる。 ベアリングは全て交換するが、ギヤはよく点検して使用可能か判断する必要がある。

その6へ続く。


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