2012年4月29日 MT化 その7(ゲトラグミッションOH:組立編1)


【はじめに】

今回からミッションの組立に取り掛かる。 手始めに組立の準備段階としての作業になる。

この作業は組立をスムーズに進めるのに重要だ。特にシムなどは事前に準備しておかないと作業が中断してしまう。



【温度センサーの穴加工】2012年4月7日作業。


この作業は組立には直接関係無いが、序でにやってしまう。


ミッションオイルの温度管理をする為に、センサーを取り付ける。


いい場所が無いか探したらリアケースに見つかった。


オイルの量が少ないので出来るだけ下側が良い。

レイシャフトの中央辺りまでしか入らない。


しかも、運転中はギヤで掻き揚げられるので、もっと低くなる。


ケース下部のこの位置。


ここは厚みがあってネジを立てるのに丁度いい。


反対にもあるが、マフラー側になるのでこちらが良い。


裏側はこのようになっている。


両方の凹みを計って穴明け可能な位置を描く。


この中央部分が何もないところ。


出来るだけ真ん中に穴明けをする。


穴明けでケースが破れるのを防ぐ為だ。


M12×P1.5のネジを立てる。


ガスケットの当たり面を加工する。


内側のバリを綺麗にする。


センサーを取り付けて見る。


ケースの合わせボルトが心配だが何とかなるだろう。w


丁度ギヤの無いところなので干渉の心配は無い。


センサーの先が少しだけ出る。

【ブリーザーパイプの取り付け】2012年4月7日作業。


元々のパイプでは、油温が上がるとオイルが噴出していた。


後期になると対策としてこのパイプになっている。


前方に高く長くすることによってオイルの噴出しを防止している。


シール剤を塗って、穴に打ち込む。


先端をネジで固定する必要がある。


ネジを付けるところが最初から備わっている。


ドリルで下穴を明ける。


M6のネジを立てる。


ボルトで固定して出来上がり。


ちょっとしたことだが絶大な効果がある。

【ベアリングセット用シムの確認】2012年4月7日作業。


ミッション関係の交換パーツ。


これが必要なベアリング一式。


まずは、リアケースのベアリングから確認する。


アウトプットベアリングの厚さは20mm。


ベアリングの収まる部分の深さは20.3mm。


使用するシムは、20.3−20=0.3mmである。


リアケースのベアリングシムは一箇所だけだ。


フロントハウジングのベアリングを確認する。


インプットベアリングの厚さは20mm。


ベアリングの収まる部分の深さは22.9mm。


ハウジングカバーの出代は、2.4mm。


使用するシムは、22.9−20−2.4=0.5mmである。


レイシャフトフロントベアリングの厚さは17.95mm。。


ベアリングの収まる部分の深さは19.15mm。


シーリングカバーの厚さは、0.8mm。


使用するシムは、19.15−17.95−0.8=0.4mmである。


フロントには2箇所ともシムが必要。


このシムは、ハウジングの加工寸法によって決まる。


なので、問題が無ければ再使用できる。

【レイシャフトの組立】2012年4月7日作業。


磨耗による交換の為に分解していた4速カウンターギヤを組み立てる。


カラーを入れる。


製作したスペーサーをセットする。


4速カウンターギヤを加熱する。


最初はホットブロワーを使っていたがなかなか温度が上がらない。

そこでバーナーを使うことにした。


ただし、炙り過ぎに注意する。


温度を確認しながら加熱する。


大体150℃になったらOK。


この温度だとシャフトより穴が大きくなっている。


素早くシャフトを挿入する。


念のためプレスで加圧して、冷めるのを待つ。


4速カウンターギヤの組み込み終了。


レイシャフトのフロントベアリングインナーレースをセットする。


これは小さいのでホットブロワーで十分。


大体80℃になったらOK。


シャフトより十分大きくなっている。


ささっと、シャフトに挿入する。


念のためプレスで加圧して冷めるのを待つ。


これで、レイシャフトの準備完了。

【リアケースにベアリング取り付け】2012年4月7日作業。


リアケースをホットブロワーで加熱する。


アルミ製なのでバーナーは厳禁。


大体80℃ほどになったらOK。


アウターレースを挿入する。


このアウターは薄くて小さいのですぐに温度が上がってしまう。


そのためハンマーで素早く打ち込む必要がある。


シムをセットする。


このベアリングは向きがあるので注意する。


インナーレースが出ている方が内向きである。


こちらは打ち込むことなくスッと入った。

【インターミディエイトケースにベアリング取り付け】2012年4月7日作業。


まず小リバースギヤ用のシャフトを挿入する。


リアケースにシャフトをセットする。


サイドからボルトで固定する。


このボルトが有るので向きが決まっている。


インターミディエイトケースのシャフト穴を加熱する。


大体80℃になればOK。


ノックピンで位置を決めて素早く挿入する。


ベアリングをセットする。


ブロワーで大体80℃に加熱する。


ケースの面まで素早く打ち込む。


2箇所入ればこれで終わり。

【フロントハウジングにベアリング取り付け】2012年4月7日作業。


ホットブロワーで加熱する。


フロントは大きく放熱が早いので十分に加熱する。


大体80℃以上、すぐに冷めるので少し高めにする。


ベアリングの向きに注意して挿入する。


インナーの出ている方が内向き。

(画像では下向き)


十分に加熱してあれば簡単に挿入できる。


動かさないようにして冷めるのを待つ。


冷めたら裏返して、セレクターシャフトベアリングを挿入する。


これはそのまま打ち込めばいい。

【ハウジングカバーにオイルシール取り付け】2012年4月7日作業。


インプットシャフトシールを取り付ける。


冶具で均等に打ち込む。


このカバーは組立の一番最後の出番となる。

【ギヤオイルのブレンド】2012年4月7日作業。


ゲトラグのオイルはATFが指定されている。


しかし、4速ギヤやベアリングの焼き付きが報告されている。



低温から高温まで、幅広く対応するための組み合わせ。
また、ギヤだけでなくシンクロにも配慮する必要がある。

そこで、色々とリサーチしてこの組み合わせで行くことにした。

ニューテックの高性能ATF ZZ−51改、と同じく、ニューテクのギヤオイルUW−75(75W−85)とギヤオイルUW−76(75W−140)。

これをそれぞれ、ZZ−51改を50%、UW−75を25%、UW−76を25%の割合で混合する。

この混合で粘度的には、75W−90相当になっている。

実際には使ってみて、一番いい割合を見つけていくことになる。

 


まず、ZZ−51改を1本(1L)空容器に入れる。


続いて、UW−75を0.5L計量する。


容器に注ぎ込む。


最後は、UW−76を0.5L計量する。


容器に注ぎ込む。


容器に蓋をして十分に攪拌する。


ATFの赤色より濁った色になった。


これで、2Lの混合オイルが出来た。


組立時にはこれを塗布しながら組んでいく。

これで、下準備はできた。 次からは本格的な組立に入っていく。

その8へ続く。


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