【はじめに】
今回からミッションの組立に取り掛かる。 手始めに組立の準備段階としての作業になる。
この作業は組立をスムーズに進めるのに重要だ。特にシムなどは事前に準備しておかないと作業が中断してしまう。
【温度センサーの穴加工】2012年4月7日作業。
この作業は組立には直接関係無いが、序でにやってしまう。
ミッションオイルの温度管理をする為に、センサーを取り付ける。
いい場所が無いか探したらリアケースに見つかった。
オイルの量が少ないので出来るだけ下側が良い。
レイシャフトの中央辺りまでしか入らない。
しかも、運転中はギヤで掻き揚げられるので、もっと低くなる。
ケース下部のこの位置。
ここは厚みがあってネジを立てるのに丁度いい。
反対にもあるが、マフラー側になるのでこちらが良い。
裏側はこのようになっている。
両方の凹みを計って穴明け可能な位置を描く。
この中央部分が何もないところ。
出来るだけ真ん中に穴明けをする。
穴明けでケースが破れるのを防ぐ為だ。
M12×P1.5のネジを立てる。
ガスケットの当たり面を加工する。
内側のバリを綺麗にする。
センサーを取り付けて見る。
ケースの合わせボルトが心配だが何とかなるだろう。w
丁度ギヤの無いところなので干渉の心配は無い。
センサーの先が少しだけ出る。
【ブリーザーパイプの取り付け】2012年4月7日作業。
元々のパイプでは、油温が上がるとオイルが噴出していた。
後期になると対策としてこのパイプになっている。
前方に高く長くすることによってオイルの噴出しを防止している。
シール剤を塗って、穴に打ち込む。
先端をネジで固定する必要がある。
ネジを付けるところが最初から備わっている。
ドリルで下穴を明ける。
M6のネジを立てる。
ボルトで固定して出来上がり。
ちょっとしたことだが絶大な効果がある。
【ベアリングセット用シムの確認】2012年4月7日作業。
ミッション関係の交換パーツ。
これが必要なベアリング一式。
まずは、リアケースのベアリングから確認する。
アウトプットベアリングの厚さは20mm。
ベアリングの収まる部分の深さは20.3mm。
使用するシムは、20.3−20=0.3mmである。
リアケースのベアリングシムは一箇所だけだ。
フロントハウジングのベアリングを確認する。
インプットベアリングの厚さは20mm。
ベアリングの収まる部分の深さは22.9mm。
ハウジングカバーの出代は、2.4mm。
使用するシムは、22.9−20−2.4=0.5mmである。
レイシャフトフロントベアリングの厚さは17.95mm。。
ベアリングの収まる部分の深さは19.15mm。
シーリングカバーの厚さは、0.8mm。
使用するシムは、19.15−17.95−0.8=0.4mmである。
フロントには2箇所ともシムが必要。
このシムは、ハウジングの加工寸法によって決まる。
なので、問題が無ければ再使用できる。
【レイシャフトの組立】2012年4月7日作業。
磨耗による交換の為に分解していた4速カウンターギヤを組み立てる。
カラーを入れる。
製作したスペーサーをセットする。
4速カウンターギヤを加熱する。
最初はホットブロワーを使っていたがなかなか温度が上がらない。
そこでバーナーを使うことにした。
ただし、炙り過ぎに注意する。
温度を確認しながら加熱する。
大体150℃になったらOK。
この温度だとシャフトより穴が大きくなっている。
素早くシャフトを挿入する。
念のためプレスで加圧して、冷めるのを待つ。
4速カウンターギヤの組み込み終了。
レイシャフトのフロントベアリングインナーレースをセットする。
これは小さいのでホットブロワーで十分。
大体80℃になったらOK。
シャフトより十分大きくなっている。
ささっと、シャフトに挿入する。
念のためプレスで加圧して冷めるのを待つ。
これで、レイシャフトの準備完了。
【リアケースにベアリング取り付け】2012年4月7日作業。
リアケースをホットブロワーで加熱する。
アルミ製なのでバーナーは厳禁。
大体80℃ほどになったらOK。
アウターレースを挿入する。
このアウターは薄くて小さいのですぐに温度が上がってしまう。
そのためハンマーで素早く打ち込む必要がある。
シムをセットする。
このベアリングは向きがあるので注意する。
インナーレースが出ている方が内向きである。
こちらは打ち込むことなくスッと入った。
【インターミディエイトケースにベアリング取り付け】2012年4月7日作業。
まず小リバースギヤ用のシャフトを挿入する。
リアケースにシャフトをセットする。
サイドからボルトで固定する。
このボルトが有るので向きが決まっている。
インターミディエイトケースのシャフト穴を加熱する。
大体80℃になればOK。
ノックピンで位置を決めて素早く挿入する。
ベアリングをセットする。
ブロワーで大体80℃に加熱する。
ケースの面まで素早く打ち込む。
2箇所入ればこれで終わり。
【フロントハウジングにベアリング取り付け】2012年4月7日作業。
ホットブロワーで加熱する。
フロントは大きく放熱が早いので十分に加熱する。
大体80℃以上、すぐに冷めるので少し高めにする。
ベアリングの向きに注意して挿入する。
インナーの出ている方が内向き。
(画像では下向き)
十分に加熱してあれば簡単に挿入できる。
動かさないようにして冷めるのを待つ。
冷めたら裏返して、セレクターシャフトベアリングを挿入する。
これはそのまま打ち込めばいい。
【ハウジングカバーにオイルシール取り付け】2012年4月7日作業。
インプットシャフトシールを取り付ける。
冶具で均等に打ち込む。
このカバーは組立の一番最後の出番となる。
【ギヤオイルのブレンド】2012年4月7日作業。
ゲトラグのオイルはATFが指定されている。
しかし、4速ギヤやベアリングの焼き付きが報告されている。
低温から高温まで、幅広く対応するための組み合わせ。
また、ギヤだけでなくシンクロにも配慮する必要がある。
そこで、色々とリサーチしてこの組み合わせで行くことにした。
ニューテックの高性能ATF ZZ−51改、と同じく、ニューテクのギヤオイルUW−75(75W−85)とギヤオイルUW−76(75W−140)。
これをそれぞれ、ZZ−51改を50%、UW−75を25%、UW−76を25%の割合で混合する。
この混合で粘度的には、75W−90相当になっている。
実際には使ってみて、一番いい割合を見つけていくことになる。
まず、ZZ−51改を1本(1L)空容器に入れる。
続いて、UW−75を0.5L計量する。
容器に注ぎ込む。
最後は、UW−76を0.5L計量する。
容器に注ぎ込む。
容器に蓋をして十分に攪拌する。
ATFの赤色より濁った色になった。
これで、2Lの混合オイルが出来た。
組立時にはこれを塗布しながら組んでいく。
これで、下準備はできた。 次からは本格的な組立に入っていく。
その8へ続く。