【はじめに】
内部のギヤ関係の組立が出来たので、ハウジングへの組み込みを行う。
ハウジングには液体ガスケットを使うので失敗すると厄介だ。しっかりと確認して忘れ物の無いように組み立てる。
【ミッションの組み立て】2012年4月21日作業。
リアケースのフランジ面を綺麗に脱脂する。
インターミディエイト側も脱脂する。
液体ガスケットを薄く均等に塗る。
インターミディエイト側にも薄く塗る。
先にワッシャーをベアリング上に置いておく。
ベアリングのインナーレースを80℃ほどに加熱しておく。
組み上げたギヤセットを慎重に合わせる。
各部の位置を確認して調整する。
特にシフトロッドの入る位置に注意する。
ここまで入れば問題なし。
入らなければ、どこかか当たっているのでやり直す。
フランジ面が当たるまでハンマーで叩き込む。
ノックピンがあるので少し固い。
仮に4箇所ほどにボルトを入れて固定しておく。
念のためアウトプットシャフトも適当なカラーを入れて固定する。
【シフト機構部の組み立て】
リバース用シフト反転レバーの取り付け。
画像のように右側に―印が来るようにする。
右側のリバースシフトロッドのセット。
リバースシフトロッドを少し引き上げてレバーを入れる。
レバーの位置を調節する。
ピンを穴に入れる。
クリップで止める。
ちゃんと入っているか確認する。
1速、2速シフトフォークをセットする。
3速、4速シフトフォークをセットする。
シフトフォークの位置を合わせる。
ドライブドッグをセットする。
1速、2速シフトロッドを挿入する。
リアケースの穴に合わせて挿入する。
フォークとドッグをピンで固定する。
ここから本体を横にして作業する。
3速、4速シフトロッドを後ろ側から挿入する。
3速、4速シフトロッド用ロックピン。
抜け止めにグリースを塗る。
ロッドに挿入する。
ロッドを余分目に挿入して位置をずらしておく。
ロッド穴の中にロックボールをセットする。
このボールでシフトの2重噛合いを防止している。
少し分かり難いと思うので、絵で説明しよう。
この様な構造になって、一つのギヤが噛合っている時には他のギヤは入らないようになっている。
ボールにグリースを塗ってドライバーで挿入する。
ロッドの上下に入れる。
ボールがキチンと入っているのを確認する。
シフトロッドを定位置に戻してフォークをノックピンで固定する。
各シフトロッドのロックボールをセットする。
穴の中にグリースを詰めてから入れる。
ここのスプリングは、1箇所長さが違うので注意する。
一番上に短いスプリングをセットする。
シーリングキャップを付ける。
このキャップにはシールゴムが付いているのでガスケットは不要。
ボルトを規定トルク10Nmで締め付ける。
セレクターシャフトを挿入する。
シフトレバーを合わせる。
シフトレバーにシャフトを入れる。
シャフトの切欠きの方向に注意。
セレクターシャフトにローラーをセットする。
シャフト側にグリースを塗る。
ローラーを貼り付ける。
ローラーが落ちないようにそーっと挿入する。
定位置でシフトレバーにピンを入れて固定する。
これで、シフト部の組立完了。
【リアケース外周りの組み立て】
リバースシャフト固定ネジにネジロックを塗布。
念のため液体ガスケットも併用する。
規定トルク25Nmでしっかりと締め付ける。
セレクターシャフトシールを取り付ける。
シールの内径にグリースを塗る。
丁度良いサイズのソケットを使って打ち込む。
ケースの面まで入ればOK。
シフトロック機構部の穴を塞ぐ。
穴に液体ガスケットを塗る。
キャップを打ち込む。
本体を立てて仮に固定していたボルトを外す。
フランジ面を脱脂する。
相手側も同じく。
ベアリングのインナーレースをホットブロワーで加熱する。
大体80℃ほど。
液体ガスケットを薄く均等に塗る。
相手側も同じく塗る。
ノックピンを打ち込む。
無理に押さえないようにして位置を調節しながら押し込む。
同時にインプットシャフトベアリングも抜けないように打ち込む。
ここまで入らない場合は、どこかが当たっているので無理をせずやり直す。
フランジ面が付いたらボルトで固定する。
規定トルク22Nmで対角上に均等に締め付ける。
ハウジングのセット完了。
【ベルハウジング内の組み立て】
レイシャフトのフロントベアリングを固定する。
ワッシャーをセットする。
ボルトにネジロックを塗布する。
規定トルク60Nmで締め付ける。
インプットシャフトに周り止めをしておく。
インプットシャフトにサポートディスクセットする。
ベアリングがインプットシャフトの奥まで入っているのを確認する。
シャフトがベアリングよりも奥にあるので、入っていない場合がある。
入ってなければ、シャフトを引張ったままベアリングを叩いて打ち込む。
サークリップを取り付ける。
サークリップとサポートディスクのスキマを測定する。
基準値0〜0.09mm。
0.05mmと規定値に収まっている。
規定値から外れている場合は、サークリップを換えてセットし直す。
ベアリングが奥まで入っていないと隙間が出来ない。
レイシャフトフロントベアリングの固定。
準備のときに用意したシムをセットする。
シーリングカバーを付ける。
適当なサイズの冶具で真っ直ぐに打ち込む。
リテーナーをセットする。
固定ボルトにネジロックを塗布する。
ここのネジ穴は内部まで貫通しているのでしっかりと塗っておく。
規定トルク10Nmで均等に締め付ける。
インプットシャフトベアリングの固定。
準備のときに用意したシムをセットする。
フランジ面に液体ガスケットを塗る。
ハウジングカバーを取り付ける。
固定ボルトにネジロックを塗布する。
規定トルク10Nmで均等に締め付ける。
一箇所のネジ穴が貫通している。
ベルハウジング内のセット完了。
【ハウジング外回りの組み立て】
用途不明のプラグを取り付ける。
液体ガスケットを塗って締め付ける。
オイルドレンプラグも付けておく。
液体ガスケットを塗って締め付ける。
セレクターシャフトのロックピンをセットする。
ロックピン先端のローラーが前後方向(画像では上下方向)に向くようにする。
オイルを塗ってロックピンを挿入する。
スプリングをセットする。
ブラインドプラグに液体ガスケットを塗る。
プラグを打ち込む。
何故かここだけ打ち込み式になっている。
バックランプスイッチを取り付ける。
液体ガスケットを塗って締め付ける。
ベルハウジングに位置決めピンを打ち込む。
オイルブリーザーキャップを付ける。
アウトプットシャフトシールをセットする。
シールリップにグリースを塗っておく。
適当なサイズの冶具で真っ直ぐに打ち込む。
ケースの面まで入ればOK。
アウトプットフランジを取り付ける。
フランジの外はシールが有るが、シャフト側は何もない。
ここからオイルが滲んでくる可能性がある。
念のため液体ガスケットを充填しておく。
フランジ固定ナットにネジロック剤を塗布する。
規定トルク120Nmで締め付ける。
ロックプレートでナットの回り止めを行う。
均等に打ち込む。
ピボットをセットする。
本来これはプラスチックだが、耐久性のある金属タイプにした。
適当なソケットを使って打ち込む。
シフトロッドジョイントを取り付ける。
ジョイントの中にプラスチックディスク(スポンジみたいなやつ)を入れる。
このスポンジでジョイントがクネクネするのを防いでいる。
奥まで押し込む。
ジョイントをロッドに押し込んでピンをセットする。
テンションブッシュでピンの抜け止めをする。
これで、ミッションの組立は全て終了。
オイルは、搭載前に注入する。
後は、車体への搭載を待つばかりだ。
これでミッションのオーバーホールは終了した。 いよいよMT化の本番、車体への搭載へと取り掛かる。
その10へ続く。