2011年5月5日 エンジンオーバーホール その5(組立編2)


【はじめに】

昨日で各セクションの組立が終わった。今日から本格的にエンジンの組立に入る。

今までは細かな作業だったが、ヘッドの搭載と言うエンジンのオーバーホールの中で一番メインの作業がある。



【タイミングチェーンの組付け】

ヘッドを乗せる前にタイミングチェーンを付けてフロントロアカバーを付ける必要がある。


洗浄して綺麗になったカバー類。


フロントロアカバーに新しい軸シールを入れる。


シールに合った打ち込みじ冶具で均等に打ち込む。


シールのリップ内にペーストを塗っておく。


タイミングチェーンの新旧比較。


下が新品。


このチェーンはエンドレスではなくジョイントが付属してあった。


ひょっとするとヘッドを下ろさずにチェーンを換えられるように切ってあるのか?


サイドプレートを打ち込む。


プレートの外れ止めのため軸を潰す。


ちょっと潰れれば抜けることは無い。


タイミングチェーンをセットする。


ロアカバーのガスケットに液体パッキンを薄く塗りつける。


ブロックがに貼り付ける。


カバーを取り付ける。


このとき、テンショナーの位置に注意する。


ネジを均等に締め付ける。


このカバーのガスケットは上下に少しだけ長く作られている。

そのためヘッド面から飛び出ている。

そのガスケットをスクレーパーなどでツライチに切り取っておく。

【ヘッドブロック搭載】


ヘッド面の脱脂を十分にしたら、ヘッドガスケットを載せる。


このガスケットはシール付きなので扱いが簡単で良い。


載せる前にバルブの状態を確認しておく。


1番ピストンが上死点にあるので、カムがその位置に合っているか確認する。


こちら側の面も脱脂しておく。


問題なければそのまま搭載する。


今回のオーバーホールではヘッドボルトをスタッドに変更する。


スタッドにする利点は、

1)トルク管理がしやすい。
2)ブロックのネジを奥まで有効に使うので歪みが出にくい。
3)ボルト自体がねじれないのでトルクが均等に掛けられる。
4)トルクが均等なのでヘッドの歪みが出にくい。

など色々とある。


錆の防止のためオイルが塗ってあるので綺麗に脱脂しておく。


トルクを最大限に生かす潤滑剤が付属してある。

それを薄く塗っておく。


普通のスタッドの場合先にねじ込んでおいて、ヘッドを載せる為合わせにくい。


でも、このスタッドには先端に六角穴が開いているので後からのセットが可能だ。


ネジ穴の最後までしっかりとねじ込んでおく。


上のネジ部にも潤滑剤を塗っておく。


ヘッドはアルミ製なので必ずワッシャーを入れる。


ナットをねじ込む。


このナットは、12角でよりトルクを伝えやすくしている。


このボルトの規定締め付けトルクは、90ft lbs。


換算すると121.5Nmになる。


それを3回に分けて締め付ける。

まず1回目、40.5Nm。


2回目、81Nm。


そして最後、121.5Nm。


それぞれ、少し時間を置いて実施する。


ボルトの頭に回数の印をつけて締め忘れの無いようにする。


タイミングチェーンをセットする。


多少ずれていたらクランクを回して調整する。


ただし、回しすぎるとバルブが当たる可能性があるので注意する。


ボルトで仮に固定。


1本づつ外してネジロックを塗布して締め付ける。


均等に締め付ける。


テンショナーの新旧比較。


上が新品。


あまり劣化は見られないので再使用でも問題ないかも。


どちらにもペーストを塗って組み込む。


このときピストンには向きがあるので注意してセットする。


スプリングを縮めてプラグを締め付ける。


フロントアッパーカバーに新しい軸シールを取り付ける。


シールに合った冶具で均等に打ち込む。


シールとカバーがツライチになれば良い。


ガスケットに液体パッキンを薄く塗りつける。


アッパーカバーをつける前にヘッドガスケットの穴に液体パッキンを入れておく。


この部分は4つのパーツが集まるところで、一番漏れやすいところだ。


ガスケットを貼り付ける。


ケースを取り付けて均等に締め付ける。


シールのリップにペーストを塗る。


デスビ裏カバーを先に置く。


デスビローターアダプターをセットする。


取り付けネジにネジロックを塗布する。


しっかりと締め付ける。


ヘッドとフロント周りの組立が出来た。


ヘッドブロックの後ろ側のカバーをつける。


ここは分解時に?があったところだ。

調べたところ分解時の形が正解なことが分かった。


(画像は後日、撮り直したのでおかしな部分があります。)


ここのガスケットの形状が画像の通りで、矢印の穴がオイルラインと繋がっている。


そう、ここからオイルが伝って出てくるので外側のワッシャーで止めてあるようだ。

それにしても不思議なことになっている。


元通りに組付ける。


もちろん、ガスケットに液体パッキンを塗る。


このワッシャーがミソである。


ちなみにこのワッシャーはシールキットにちゃんと入っている。


あまり締めすぎるとカバーが歪むので程ほどに。


下側のネジを折ってしまったところは、プラグを製作した。


液体パッキンを塗ってアルミガスケットとの併用で漏れないように処置する。


しっかりと締め付ける。


後ろ側のセットが終わった。


ここは、車体に載せるとほとんど隙間が無いので漏れると厄介だ。


ヘッドに戻って、オイルデリバリーパイプの取り付け。


この取り付けボルトは緩むので、緩み止め対策をしておく。

普通ならワイヤーで固定するところだが、あえて緩み止めワッシャーを作ってみた。


上側のワッシャーの代わりに長方形の板をアルミ板で作って穴を明けたもの。


その端をそれぞれに折り曲げて緩み止めとする。


ここで、バルブクリアランスの調整をしておく。


IN,EXともに0.3mmに調整した。


ゴミが入らないようにヘッドカバーを付けておく。


しかし、換えたヘッドボルトのお陰でカバーが付かない。


ノーマルのボルトより高さが高くなっているせいだ。

仕方ないのでカバーの方を加工する。

ここはもろに板と干渉しているので、穴を明けて逃がす。


ここは少しだけリブに干渉する。


何とか締まるようになった。

【オイルパンの組付け】


上部が終わったので今度は下側。


クランクシールの取り付け。


エンジンの中で一番大きな軸シールだ。


これだけ大きな冶具は無いので、均等に打ち込んでいく。


ガスケットに液体パッキンを塗る。


ここは漏れると厄介なのでちょっと多めに塗った方が良い。


シールのリップにペーストを入れておく。


シールが裏返らない様に注意しながらセットする。


取り付けネジを均等に締め付ける。


オイルパン側の余分なガスケットをカットする。


オイルポンプのスプロケットナットにネジロックを塗布して締め付ける。


ネジの締め忘れが無いか最終チェック。


オイルパンの面とブロックの面、両方を脱脂する。


ガスケットに液体パッキンを薄く均等に塗りつける。


ガスケットに穴もあるが念のため合わせ部にシールを塗っておく。


オイルパンを取り付ける。


中央のネジから均等に締めていく。


これでエンジン本体の組立は出来た。


後はこれに補機類を取り付けていく。

【インマニ関係の分解洗浄】

本体側ばかりメンテして、インマニを放置していた。(笑)


インマニの分解をする。


スロットルの取外し。


インジェクターの取外し。


インジェクターとデリバリーパイプの固定リングを外す。


インジェクターのO−リングが固着しているのでプライバーでコジって外す。


デリバリーパイプが外れた。


インジェクターをインマニから抜き取る。


インマニとインジェクター。


インジェクターは魔法の洗剤へつける。


すると直に真っ黒になった。


ブラシで丁寧に汚れを落とす。


インマニも洗浄する。


スプレーを掛けてブラシでゴシゴシ。


内部から真っ黒な水が出てくる。


洗浄が出来たらエアーブローして水分を飛ばしておく。


スロットルも同じく洗浄する。


綺麗になったインジェクター。


中央はグレーだったんだ。(笑)


インジェクターの部品交換のため古いものを取り外す。


O−リングの取外し。


ノズルカバーの取外し。


脆くなっているので外そうとすると壊れる。


ラジオペンチを使ってテコの原理で抜き取る。


このとき、ノズルの先端を絶対に触らないように注意する。


先端部のパーツ。


後ろ側にもO−リングとストレーナーがある。


ストレーナーは打ち込んであるので、引っ掛けて抜き取る。

タップをねじ込んでそれを無理やり引き抜いた。


ストレーナーは壊れるが抜き取れる。


これが交換パーツだ。


全てのインジェクターに同じ作業をする。


交換部品の新旧比較。


下が新品。


スロットルの取り付け。


新しいガスケットを入れて均等に締め付ける。


外してあったホースをつけておく。

これで、エンジン単体の組立は終わった。後は補機類を組み付けていくだけだ。

明日はインジェクターの洗浄と補機類の取り付けだ。その6へつづく。


BACKINDEXNEXT


inserted by FC2 system