【はじめに】
久しぶりの依頼品である。(笑) しかも今回はBMWではなくポルシェのパーツに対する依頼だ。
物はエアコン用のブロワモーター、BMWにも付いていて同じBOSCHのものなので応用は効くはずである。
修理内容は、定番の鈴虫対策。( ̄▽ ̄; 年数が経過するとベアリング部のオイルが切れて、音が出だす症状である。
オイル切れなので注油すれば良いが、奥の方に取り付けてあるので取り出す必要がありいちいち面倒だ。
またBMWと違って、ポルシェのブロワは左右別々についていて一個が12諭吉するらしい。(爆)
【芯材の製作】
流石に新品は買えないとのことなので引き受けることにした。( ̄▽ ̄;
BMWの場合モーターの両方に羽根が付いているが、こちらは別々。
なんて贅沢な。( ̄ェ ̄;
まずはブラシのバネを外してコミンテータをフリーにする。
それから、シャフトの位置決めリングを外す。
羽根を外す必要があるのでプーリー抜きを使う。
ただ、普通のものでは入らないので先端を加工した。
羽根を壊さないように慎重に抜き取る。
無事に羽根が抜けた。
モーター固定用のカバーを外す。
これで、モーターだけ取り出せた。(^o^)b
ここからはモーターの分解に入る。
まずは、メタルホルダーを固定してある爪を起こす。
この爪は折れ易いので慎重に作業する。
爪が全部外れたら、ホルダーを分離する。
これで取り外せる。
反対側も同じように外してコアと一緒に取り外す。
メタルはブラシホルダーの後ろなのでホルダーを外す。
これも爪で固定してあるのでコジれば簡単に外れる。
これがメタルである。
メタル押さえを回して外す。
反対側も同じように外す。
ただし、コアが付いたままなので作業はし難い。
コアにメタルが付いたままなので抜き取る。
先端(右端)のものは羽根に付いているスリーブである。
抜いた際にこちら側に残ってしまったのだ。
これで、全てのパーツの分解が出来た。
一応2種類のベアリングを購入してみた。
縁付きの方は、加工が必要、縁無しは無加工で付くが問題あり?
って事で、縁付きでいくことにした。
メタルホルダーの穴を大きくしてベアリングが入るようにする。
これで、加工は終了。
シャフトの固定をする必要があるのでカラーを製作。
ホルダーにベアリングをセットする。
穴に対して少しガタがあるので周囲を押えておく。
ベアリングを押える為にメタル押さえをそのまま利用する。
メタル押さえの端を押えながらホルダーにはめ込む。
ベアリングに換装終了。
ブラシホルダーをセットする。
固定の爪を倒してホルダーを固定する。
ハウジングにベアリングホルダーを取り付ける。
爪を倒してしっかりと固定する。
シャフトにカラーをセットする。
ハウジング内にコアを挿入する。
シャフトをベアリングに通す。
外側にもカラーを入れる。
止め輪を付ければシャフトの固定OK。(^o^)/
反対側のホルダーをセットする。
ハウジングにしっかりと固定する。
ブラシのバネを元に戻す。
これでモーターの組み立ては完了。
このベアリングを使った事で、元のサイズをほとんど変えずに換装することが出来た。
モーター固定用のカバーを付ける。
羽根にスリーブを戻す。
叩いて入れると羽根が割れる恐れがある。
そこで、ボルトを使ってゆっくりと入れることにした。
ナットを締めていく。
元の位置までしっかり挿入する。
モーターを立てた状態で固定する。
このとき荷重はシャフトで受けるように置くこと。
羽根をセットする。
羽根自体ではなくスリーブを叩くように冶具を置く。
ハンマーで規定の位置まで叩き込む。
先端が少し出るこの状態で完成。
で、この後事件が起こる。( ̄▽ ̄;
折角出来上がったのに台から落としてしまった。
当たり所が悪かったらしく磁石が割れてしまった。_| ̄|○
どうするか相談したところBMW用が一個余ってるとのこと。
寸法も合っているようなので至急送ってもらうことにした。
送っていただいたのがこれ。(^o^)b
BMWの両方に羽の付くタイプだ。
折角なので両方を比べてみる。(^o^)v
ブラシホルダー。
形状は少し違うが、端子も同じなので転用は可能。
コアとシャフト。
コアは同じでシャフトだけが違っている。
カットし加工すれば使える。
転用する場合、コミンテータの磨耗状態をチェック。
ハウジング。
サイズは全く同じだが、当然品番は違う。
BMW 0 130 630 030
ポルシェ 0 130 063 068
径は全く同じ。
長さも細部形状も全く同じ。
メタルホルダーの形状に違いがある。
結論:BMW用のモーターはポルシェに転用可能。(少し加工が必要) (^o^)v
BMWのハウジングを使って再組立。( ̄▽ ̄;
今度は落とさずに組立できた。(爆)
これにて作業は終了である。
念のため回転テストを行う。
実際には12V掛ることは無いがこれでテストする。
問題なく回った。
もちろん回転も超スムーズである。
これでベアリングの寿命まで音が出ることは無い。
と言うか、ベアリングよりコミンテータの方が寿命が短いと思う。( ̄▽ ̄;
もう一台もOK。
これでモーターのベアリング換装手順が出来た。 ただし、ホルダーのカシメ部分はそう何回も起こせないので2回が限度かもしれない。
またベアリングの寿命は延びたが、コミンテータの寿命が先に尽きたらモーター自体の交換が必要になります。