【はじめに】
久しぶりに大物の依頼である。かなり以前から頼まれていたが、いつでも良いとのことで放置していた。(笑)
一応進めるべくパーツを調達していたがなんと3ヶ月も待たされた。( ̄▽ ̄;
ご依頼内容はマニュアルミッションのオーバーホールである。
元々異音がして分解してみたらベアリングが破損していたそうでバラシたまま放置してあったそうな。
【ゲトラグ260/6のオーバーホール】
確か受け取ったのは長島PAでのオフの時。( ̄▽ ̄;
あれから半年以上。(笑)
受け取った時は既にケースとギヤがバラバラの状態。
まずはケースを綺麗に掃除。
と、ここまでが受け取って早々にしたこと。 それから半年放置。(笑)
やっとパーツも揃って作業再開。
まずはパーツの洗浄から。
基本パーツの洗浄(アルミ以外)は組立当日に行う。
理由:洗浄すると錆が出易くなるため。
各パーツの洗浄完了。
小物部品は紛失に注意する。
新しく調達したパーツ。
ベアリングとシール。
それと延長ブリーザパイプ。
これは、オイルを余分に入れても噴出さないようにする為に必要。
今回のオーバーホールでのメインパーツ。
3速・4速シフトフォークと5速・リバースシフトフォーク。
シフトフォークの新旧比較。(左側が新品)
5速・リバースシフトフォーク 5速側に磨耗が見られる。
3速・4速シフトフォーク 3速・4速共に磨耗。特に3速側が酷い。
3速側のこの磨耗ではギヤは入らなかったはず。 しかしながらシンクロ自体にダメージは無かった。
ケース内にはこのアルミの削られた細かな粉が大量に蓄積していた。
ブリーザパイプの交換。
これでオイルが吹く事はない。(^o^)b
さて、ここからギヤの組立に取り掛かる。
シャフトを固定してリア側から組み立てる。
使用するギヤオイルを塗布しながら組み立てる。
リバースギヤの組み込み。
5速・リバースシンクロナイザーの組み込み。
ロックリングで固定。
5速ギヤの組み込み。
周り止めボールのセット。
位置決めワッシャーのセット。
アウトプットベアリング。
このベアリングの内輪は分割式になっている。
溝のあるほうをギヤ側に使用する。
ホットブロワーにて約80℃ほどに温める。
先ほどのボールと内輪の切り欠きを合わせてセットする。
内輪が冷めるのを待つ。
シャフトを反転してフロント側の組立をする。
1速ギヤの組み込み。
1速・2速シンクロナイザーの組み込み。
2速ギヤの組み込み。
周り止めボールのセット。
仕切りワッシャーのセット。
ニードルベアリングのスペーサーブッシュを約80℃くらいに温める。
素早く挿入して固定。
スペーサを少し叩いてワッシャーが動かないように密着させる。
3速ギヤの組み込み。
3速・4速シンクロナイザーの組み込み。
スペーサーとサークリップでシンクロを固定。
これで、ギヤの組立は終了。
この状態だとシンクロスリーブがすぐ外れるので取り扱いに注意する。
リアカバーにベアリングの組み込み。
カバーを約80℃くらいに温める。
ベアリングの挿入。
調整シムも忘れずに挿入する。
それからベアリングの向きに注意。
バックアップリングでベアリングを固定する。
5速用コンプレッションスプリングをセットする。
ベアリングをセットしオイルの塗布。
レイシャフトの組み込み。
ギヤセットに5速・リバースシフトフォークをセット。
ギヤセットの組み込み。
このままだとレイシャフトが邪魔で収まらない。
レイシャフトを少し持ち上げて同時に挿入する。
この時、シフトロッドも定位置に納める。
1速・2速シフトフォークと3速・4速シフトフォークの組み込み。
5速・リバースシフトレバーのセット。
リバース小ギヤの組み込み。
同時噛み合い防止ボールのセット。
グリースを塗って落ち止めをする。
3速・4速シフトロッドにロックピンをセット。
シフトロッドを挿入し位置決めピンで固定する。
シフト位置固定ボールのセット。
グリースを塗って落ちないようにする。
セレクターシャフトの組み込みとガイドローラーのセット。
これもグリースで落ちないようにする。
シャフトを挿入しセレクターレバーを位置決めピンで固定する。
ボールセット穴にキャップを取り付ける。
穴の内側に液体ガスケットを少量塗っておく。
セレクターシャフトシールのセット。
スプリングをセットする。
シーリングキャップに液体ガスケットを塗布して締め付ける。
インプットシャフトの組み込み。
本来はギヤセット取り付け時に付けないといけない。
何とか少し傾けると入れることが出来た。( ̄▽ ̄;
ベアリングをセットしオイルの塗布。
ハイジング側にベアリング外輪を圧入しオイルを塗布。
フランジ面を脱脂し、液体ガスケットを均等に塗る。
ハウジング側にも薄く塗っておく。
ハウジングの組み込み。
シフトロッドなど数本同時に入れるので慌てず慎重にセットする。
ボルトで固定する。
インプットベアリングの組み込み。
組み込み前にオイルを塗布する。
ベアリングを圧入する。
この時、インプットシャフトも押し込んでしまうので上に引張りながら叩き込む。
本来は専用工具が必要だ。
インプットシャフトシールのセット。
ハウジングカバーの組み込み。
フランジ面に液体ガスケットを塗って合わせる。
ベアリングの調整シムを忘れないように。
ボルトで均等に締め付ける。
アウトプットベアリングの内輪のセット。
先に組み込んだ内輪の相棒。
インプットシャフトシールのセット。
アウトプットフランジの組み込み。
本来はこのフランジではない。
テスト用に280用を使用。
ギヤオイルの注入。
規定量は1.3リットルだが、1.5リットルほど入れておく。
これで、ミッションの完成。
あとは、車に搭載して実際に動かしてみないと状態は分からない。 依頼品ではあるがこちらで試運転の予定だ。( ̄▽ ̄;