【はじめに】
幸か不幸か期せずして3種類のゲトラグ製ミッションが手元に集った。(笑)
組み立ててしまうと比較が出来ないので、今のうちに3種類の比較をしておくことにする。( ̄▽ ̄;
でもこれってなんの参考になるんだろう?(爆)
【ゲトラグミッション比較】
左から265/6、260/6、280/5である。
265はベルハウジングが分離出来るようになっている。
260と280の違いは、センターケースが有るか無いかの違い。
但し、どの部品も品番は違っていて共通ではない。
もう少し詳しく。
年代的には、265が先で260になって280の順である。
この3種類共に/5と/6が存在している。
265/5は、5速スポーツクロスレシオ、5速オーバードライブも有り。
265/6は、5速オーバードライブ。
260/5は、5速オーバードライブ、スモールシックス用、ケース下面にフィン無し。
260/6は、5速オーバードライブ、ビッグシックス用、ケース下面にフィン付き。
280/5は、5速スポーツ。
280/6は、6速?
ゲトラグには謎が多いので他にも種類が存在する。
現に280/5の前期と後期ではパーツや構造も違う。
主に使用される車種。
265/5は、E30 M3。
265/6は、E28 528e 535i、E24 635CSi、E23 735i。
260/5は、E30、E28などのスモールシックスエンジン。
260/6は、E30 M3、E28 535i、E24 635CSi、E32 735i。
280/5は、E28 M5、E24 M6、E34 M5。
各ミッションの変速比は次のようになっている。(web上の資料より)
265/6 | 260/6 | 280/5 | |
1速 | 3.82 | 3.83 | 3.51 |
2速 | 2.20 | 2.20 | 2.08 |
3速 | 1.40 | 1.40 | 1.35 |
4速 | 1.00 | 1.00 | 1.00 |
5速 | 0.81 | 0.81 | 0.81 |
R | 3.70 | 3.46 | 3.71 |
高さは265が一番高く、280、260の順番。
寸法で言うと、
265=548mm。
280=535mm。
260=491mm。
何れもベルハウジング面からアウトプットフランジまでの寸法。
となっている。
ベルハウジング側。
これに関しては、何れもビッグシックス用なので同じ。
ただ、265だけは他のものに交換が可能である。
アウトプット側。
265だけが全く違う形状になっている。
インプットシャフト(4速ギヤ)。
微妙に長さが違っている。
歯数。
265=26枚。
260=26枚。
280=26枚。
アウトプットシャフト。
サイズ形状共に全く違う。
3速ギヤとシンクロ。
歯数。
265=31枚。
260=30枚。
280=29枚。
シンクロのサイズも違う。
2速ギヤ(手前)とシンクロと1速ギヤ(奥)。
2速ギヤ歯数。
265=37枚。
260=37枚。
280=35枚。
1速ギヤ歯数。
265=38枚。
260=41枚。
280=43枚。
Rギヤ(手前)シンクロと5速ギヤ(奥)。
Rギヤ歯数。
265=34枚。
260=37枚。
280=34枚。
5速ギヤ歯数。
265=23枚。
260=26枚。
280=26枚。
レイシャフト(カウンターシャフト)。
260用のみ構造が違う。
メインギヤ×カウンターギヤの歯数をまとめると次のようになる。(但し、Rの中央は反転用のギヤを示す。)
265/6 | 260/6 | 280/5 | |
1速 | 38×13 | 41×14 | 43×16 |
2速 | 37×22 | 37×22 | 35×22 |
3速 | 31×29 | 30×28 | 29×28 |
4速 | 26×34 | 26×34 | 26×34 |
5速 | 23×37 | 26×42 | 26×42 |
R | 34×19×12 | 37×21×14 | 34×19×12 |
4速は直結なので歯数は関係ないが、全てのギヤがこのキヤを介して作動している為記載しておく。
この歯数を元に計算すると、上記の変速比と合致することが分かる。
各ギヤの位置関係はほぼ同じである。
違いとしては265と280が中間にベアリングがある。
その為、シャフト自体長くなっている。
このミッションはギヤにはす歯を採用している。
平歯よりも強く、静かなのが特徴である。
ただし、スラスト力(軸方向力)が発生する。
265のギヤを当てて確認してみる。
260に当てると軸芯がズレる。
これはギヤの捻れ角が違っている証拠。
280に当てても軸心がずれる。
と言うことは、265のギヤのねじれ角が緩いのだ。
シフトフォーク。
265の配置は他の2つと全く違う。
シンクロのサイズが違うので、当然フォークも違う。
材質にアルミと真鍮があるのはなぜだろう?
どう見ても真鍮の方が適してると思うのだが。( ̄▽ ̄;
最後はアウトプットシャフト。
このように3種類もあった。( ̄▽ ̄;
高さが違うだけでどれにでも合う。
左は260に付いていたもの。
中は265。
左は280。
全てこの組み合わせなのかは不明。
年式や車種によって変えているのかも知れない。
こうやって比較すると、なぜ?ってことが沢山分かってくる。 実に面白い。( ̄▽ ̄;