2009年8月23日 2009年10月13日 追記 ファンカップリングの構造


【はじめに】

冷却水周りの総交換でファンカップリングがお亡くなりになっているのに気づいた。22日の夜オフのときにE34に乗っておられるといさんに中古のファンカップリングを頂いたので交換してみることにした。

 

【ファンカップリングの交換】

頂いたファンカップリングも不良で交換したものだが、温度も安定していたとの話で小僧のよりましだろうと交換してみた。


頂いたファンカップリング。






SSTを使ってファンを取り外す。


右が頂いたファンカップリング。


ファンを止めているボルト3本を外す。


ファンを外したついでに掃除して光沢復活材を塗っておいた。


頂いたカップリングを取り付ける。


エンジンに取り付け。

折角交換したが、元のものと同じ症状で改善はされなかった。


【ファンカップリングの補修】

mixiでマイミクさんの雛僧@さんから教えていただいた方法で補修を試みることにした。
その方法は、カップリングのピンを削って短くすると作動温度の調節が出来るというものだった。(ただし新品に対してであって不良なものには効果のほどは不明。)


カップリングの表面についているプレート(バイメタル)を取り外す。


プレートの端が2箇所曲げられているので真っ直ぐに伸ばす。


端を押えながら左右どちらかに回して片側に寄せて抜き取る。


緑色のシールとピンが現れた。




シールを外す。

ピンを抜き取って寸法を計測する。


外径2.8mm。


長さ9.75mm。

このピンの長さを削って短くする。最初は0.5mm削る予定だったが削りすぎて短くなってしまった。


長さ8.9mmになって0.85mm短くなった。


ピンとシールを戻してプレートをセットする。


先ほどのカップリングと交換してみる。


頂いたものは0.5mm短くしてみた。


エンジンにセットし試運転。

試運転してみる。冷間時は軽くスルスルと手で回せる。水温が80度になるころカップリングが効き出してエンジン回転数に同期しているみたいである。ただし完全な温度調節はしておらず、ONとOFFのみのカップリングになってしまった。
なので、高回転では風量が出るので水温は下がるが低回転(アイドリング)ではカップリングは機能せず水温が上昇してしまう。やはり修理は出来ないのだろうか。


【ファンカップリングの分解】

不良の原因を調べるべく分解することにした。


このカップリングは嵌め殺しで分解できないようになっているが旋盤で削って無理やりばらした。

国産車ではネジで止めてあり分解が可能なものもがある。


部品も少なくシンプルな構造である。

オイルの量が少ないように思える。


回転プレート。このプレートが回転室内でシリコンオイルと回ることによってファンに回転を伝えている。


仕切りプレート。このプレートに弁が付いていてオイル貯蔵室と回転室を隔てている。


貯蔵室側。仕切りプレートがカシメて付けてあるのでカシメを外して分離。


真ん中のピンが先ほど加工したもの。


そのピンが仕切プレートの弁を押し付けてカップリングをON,OFFしている。

また弁の上に付いている第2のバイメタルで流量を調節している。


仕切プレートの外周にあるオイルかき上げ爪。(回転室側)


上の爪でオイルを掬って、この穴から貯蔵室に戻している。

【ファンカップリングの動作】

カップリングの動作を簡単に説明すると、

・冷間時、オイルは貯蔵室内に溜まっている。このとき仕切プレートの弁は閉まっている。

・温度が上昇して外のバイメタルが反ってがピンが開放されると仕切プレートの弁が開いてオイルを回転室に送り込む。

・回転室に送り込まれたオイルは回転プレートと回転室との間で抵抗となりファンを勢いよく回しだす。

・仕切プレートに付いているもう一つのバイメタルで弁を押えての流入量を調節している。

・流入量と戻り量とのバランスによって回転数のコントロールをしている。

・温度が下がってバイメタルが元に戻り再びピンを押すと仕切プレートの弁が閉じる。

・回転室内のオイルはかき上げ爪により徐々に貯蔵室内に戻っていく。


したがって、オイルそのものが少ないと回転制御されないので、ON,OFF制御のみになってしまうみたいだ。


以上が分解してわかったことで、不良の原因がオイルに起因していることは間違いないようである。
そこでオイルを追加充填して様子を見ることにする。



【シリコンオイルの充填】 9月13日のメンテオフでの作業。

デンソー製カップリング用シリコンオイルを購入した。


デンソー製カップリング用シリコンオイル。(1本10g入り・・・たぶん、どこにも書いてないので。)


穴が一箇所しかなく、そのままでは充填できないので注射器で注入。

注射器に入れると確かに10gだった。


空気が抜けないのでなかなか入らない。

注射器の先の針を外して直接穴に当てて注入するとすんなり入ってしまった。でも注射器を外したとたん中に閉じ込められた空気によりオイルが押し出されてしまう。指で押えてファンを立ててしばらく待つと、オイルが下に沈んで空気が抜けてきた。とりあえず様子を見るため、10gだけ入れて様子を見ることにした。


取り付け。

エンジンをかけて温度が上がるまでしばらく放置。温度が80度になると回転が上昇して水温も安定した。
カップリングの硬さを確認するためエンジンを切って手で回してみると、以前よりは硬くなってはいるがまだ足りないようだ。

しばらく、これで様子を見ることにする。もし問題があればオイルを追加で充填してみよう。


2009年10月3日 追記

10gを入れた状態で3週間乗ってみたが温度上昇は無く水温も安定していた。

しかし、カップリングが作動しだすとファンの音(風切り音)がかなり大きい。そのため、まだオイルの量が少ないと判断し追加で充填することにした。

とりあえず、入れ過ぎても困るので5gにしてみた。

それと、少しでもオイル漏れを少しでも少なくするべく、ピンのところにシール材を塗布しておいた。

効果の程は、後日追記します。


2009年10月13日 追記

5gを追加して10日間乗ってみたが水温も安定しまったく問題なし。

問題のファンの音(風切り音)も小さくなりほぼ新品に近い状態まで改善された。オイル漏れについてはもう少し観察する必要がある。


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