【はじめに】
ミッションの分解も終わり今回は整備に取り掛かる。各部を綺麗に洗浄して、入念に検査をしていく。
検査の結果で、必要な部品が出てくるかもしれないので慎重に見ていくことにしよう。
ギヤとシンクロは特に重要で、金額も大きいので使用できるように祈っている。(笑)
【各部品の洗浄】2012年2月から3月に掛けて作業。
エンジンでも使った洗浄剤を水で溶いて4%の割合にする。
ヒーターで温度を60度前後にする。
ケーシングを浸けてブラシで洗う。
落ちにくいときは少し浸けておく。
アルミは長くつけると黒く変色するので注意する。
すぐに真っ黒になる。(~o~;
水洗いして洗浄剤を綺麗に落とす。
水分を飛ばす。
ケーシングのオイル汚れが落ちて綺麗になった。
各パーツを洗浄する。
オイル汚れがおもで、鉄製なので脱脂剤で洗う。
細かな部品から洗っていく。
シフト関係。
シャフトの洗浄。
シンクロの洗浄。
各ギヤの洗浄。
【各ギヤの点検】各ギヤの歯の状態を確認して、使用可能かを判断する。
ギヤの配置。
左がインプット側。
ここで、各ギヤの位置関係を見てみよう。
1速 2速 3速
4速 5速 リバース
このように各ギヤに行く前に必ず4速ギヤを通過している。4速ギヤとは言っても、シャフト直結状態なのでギヤは作用していない。
なので、正式にはインプットギヤと言うほうが正しいと思われる。これで一番損傷する可能性が高いのがお分かり頂けただろうか。
4速ギヤ(インプットシャフト)。
このギヤは、ギヤ位置に関係なく常に回っている。
歯の状態をアップで。
かなり歯面が荒れている。
異音の原因はこれらしい。
山の形状も変わってしまっている。
裏側も歯先にダメージが見られる。
3速ギヤと2速ギヤ。
3速ギヤの歯の状態。
表は問題なし。
裏側は歯面に傷がある。
2速ギヤの状態。
綺麗な状態で、特に問題はない。
1速ギヤとリバース大ギヤ。
1速ギヤの歯の状態。
とても綺麗で問題なし。
リバース大ギヤの歯の状態。
リバースは使用頻度が少ないので問題なし。
5速ギヤ。
5速ギヤの歯の状態。
これも問題なし。
4速カウンターギヤ。
4速カウンターギヤの歯の状態。
4速ギヤの相手なので同じように痛んでいる。
裏側は綺麗だ。
一方向の回転と、バックラッシュ吸収ギヤが付いている為と思われる。
3速と2速のカウンターギヤ。
3速カウンターギヤの歯の状態。
表は問題なし。
裏側には傷が見られる。
2速カウンターギヤの歯の状態。
特に問題は見られない。
1速とリバースのカウンターギヤ。
1速カウンターギヤの歯の状態。
とても綺麗な状態だ。
リバースカウンターギヤの歯の状態。
全く問題なし。
5速カウンターギヤ。
5速カウンターギヤの歯の状態。
問題なし。
リバース小ギヤ
これも問題なし。
【部品取り機の確認】ギヤの状態が悪かったので、急遽部品取りの一台を送って頂いた。(^o^)b
早速分解してみる。
ギヤを確認する。
4速ギヤ組。
全く同じ状態である。(T T)
おまけにニードルベアリングのリテーナーが溶けてるし。(−−;
オイルの管理が悪いとこうなる。
オイル量が少ないのが要因の一つ。
(1.35リットルしかもATF指定。)
綺麗に洗浄してもう一度確認する。
4速ギヤとカウンターギヤ。
共に使用出来ない状態だ。
1号、2号共に使用不可で、仕方なく新品手配。
さすがに新品は綺麗だ。
でも、$500_| ̄|○
4速カウンターギヤ。
やはり同じような状態である。
一度傷が入ると酷くなる一方で戻ることはない。
削れてさらにバックラッシュが増えて当たりが激しくなっていく。
ただし、裏側は傷もなく良い状態だ。
これなら裏返しにセット出来れば使えるかも知れない。(^o^)b
3速ギヤ組。
3速ギヤに関しては、部品取りの方が綺麗だった。
3速ギヤの裏面の状態。
右が部品取りのもので、傷もなく良い状態だ。
レイシャフトも部品取りを採用する。
下が部品取り。
3速と4速ギヤは外れるようになっているが、単品入手は不可能。
しかもレイシャフトAssy’で$1000オーバー。_| ̄|○
3速カウンターギヤの状態。
手前が傷物。
【主要部分の測定】使用できるギヤの確認と選別が出来たので寸法を測定しておく。
アウトプットシャフト及び各ギヤ。
デジタルマイクロメータで外径を測定。
インプットシャフト部φ22.987mm。
3速ギヤニードルスリーブ部φ35.100mm。
2速ギヤニードル部φ39.991mm。
1速ギヤニードル部φ44.992mm。
シャフトセンターベアリング部φ43.789mm。
リバースギヤニードルスリーブ部φ40.105mm。
5速ギヤニードル部φ34.991mm。
アウトプットベアリング部φ29.966mm。
レイシャフトフロントベアリング部φ25.002mm。
ベアリングのインナースリーブが入る。
4速カウンターギヤ部φ38.083mm。
ここは、ギヤが焼き嵌めされる所。
ギヤの穴がφ38なので0.083mmの効きになる。
シャフトセンターベアリング部φ43.789mm。
5速カウンターギヤ部φ30.049mm。
ここは、ギヤが焼き嵌めされる所。
ギヤの穴がφ38なので0.049mmの効きになる。
レイシャフトリアベアリング部φ24.991mm。。
リバース小ギヤニードル部φ21.990mm。
何れの寸法も、ベアリングの接触部以外(製作時のままの部分)を基準として、同寸法もしくは許容値内の誤差範囲で問題なし。
3速ギヤニードルベアリングスリーブ。
φ39.967mm。
組立時は、φ39.977mmになる。
リバースギヤニードルベアリングスリーブ。
φ44,967mm
組立時は、φ44.977mmになる。
ギヤの内径を測定する。
シリンダーゲージを使って測定。
まずマイクロゲージでゼロ点の調整。
ギヤ内径の測定。
2目盛マイナス側を示している。
内径はφ50mmなので、φ50.02mmと言うことになる。
全て同じ寸法になっていた。
内径に傷や磨耗のあとはなく寸法的にも問題ない。
ニードルスリーブの内径。
シャフト径よりも、0.01mm小さい。
なので、シャフトに嵌めると外径が0.01mm大きくなるわけだ。
シンクロリングの寸法測定。
シンクロリングとギヤの隙間を計測する。
1速・2速: 標準1.1〜1.6mm、 限度0.9mm。
3速・4速・5速:標準0.95〜1.35mm、限度0.75mm。
R : 標準0.7〜1.15mm、 限度0.5mm。
計測値は。
1速・2速: 1.1mm。
3速・4速・5速:1.2mm。
R : 1.1mm。
と、何れも標準値以内なので問題なし。
歯の状態も特に悪いところは見られない。
【4速カウンターギヤの再生】唯一入手不可能なギヤ。何とか使えるようにしよう。
各ギヤの確認で見たとおり、裏返せば使用できそうなので加工してみる。
バックラッシュ吸収ギヤを外す。
スプリング座を外す。
スプリングピンを抜き取る。
反対側に同じ様な加工を施す。
これが、硬い。(~o~;
表面焼入れしてあるので普通の刃物では削れない。
何とか加工が出来た。
スプリングピン用の穴を明ける。
スプリング座の組立。
加工前後の状態。
左が加工前、右が加工後。
カラーリングの加工。
右は焼入れを行ったもの。
バックラッシュ吸収ギヤの組立。
完成。
これで裏返しで使えるようになった。
全てのパーツのチェックと洗浄が終わった。やはり追加で必要なパーツが出てしまった。(T_T) でも後は組み立てるだけだ。
その7へ続く。